人生の可能性を存分に発揮したいと本気で思っている人に
成功が努力の前に来るのは辞書の中だけだ
惜しみない努力と引き換えにしか成功は得られない
はじめに
営業マンとしての十五年のキャリ アで一万三〇〇一台の新車を売ったからだ。
自分のするあらゆることを分析し、整理した。自分の行動の中で、その日の成功や失敗を左右した可能性のある要因を 探した。自分の使っている様々なプロセスやアプローチを検討し、同じような小売の業界で使われている手法を自分のや り方と比較した。成功しているほかの人々のしていることを知ろうとした。
成功したいなら、第一にすべきなのは土台を築くことだ。 十三のルールの目的はそれだ。未来への足場を固め、成功に 向けて正しい方向に努力できるようにすることだ。
人生を振り返ると、もっと早いうちにしっかりした土台を築けていたらと思わずにはいられない。人々が買うのは商 品ではなく、人なのだ。好きな相手、問題を解決してくれると信頼できる相手を買っているのだ。
自分自身こそもっとも重要な売り物であり、世界一の商品だということを、私はすぐに学んだ。
人生の成功を築くために私が徹底したのは、その成功の土台となった自らのスキルや長所に絶えず磨きをかけることだ った。その結果できあがったのが私の十三のルールだ。
近道も奇策もない。
朝起きた瞬間から、夜家に帰ってくるまで、私の一日はすべてこの十三のルールを中心に回っている。 あらかじめその日の準備をしっかり整え、顧客とのやりとりでは鋭敏に、かつ思いやりをもって接することで、ほぼ毎回のように契約を とれるポジティブな環境をつくり出すことができた。ひと仕事終えた後のご褒美は、それをまた繰り返そうと思えるモチ ベーションになった。
規律ある習慣こそ、長い目で見て成功する唯一の方法だ。本書のル ルを受け入れ、日々ルールとともに生きようと真 剣に努力すれば、必ず成果があらわれる。
どんな仕事でも、あなたとあなたの隣のデスクに座っている人の業績を分けるのは、あなた個人が仕事における基本的 なことをどのようにやるかなのだ。
どれだけ言いわけをしようと、自分の人生を決めるのは、結局のところ自分自身なのだ。やってみようともしなかった ことを悔やみながら生きるのはつらいものだ。
「人生における唯一の真の失敗は、挑戦しないことだ」ということわざがある。
成功に向かって何かを変えられるのは自分しかいない、ということに気づいたとき、あなたは重要な一歩を踏み出した ことになる。頂点にたどりつくために本当に必要なものを理解することへの一歩を。
準備のルール
ルール一から六は、健康のための選択をし、ポジティブな姿 家を持ち きちんとした計画を立て、よい印象を与えて よい仕事をするための準備に焦点を当てている。誰かに会う前にしっかりと準備を整えておくことが大切なのだ。
健康のための選択をする
日常生活でも、人が(とくに仕事において)失敗する原因の大半は準備不足だ。
健康な心と健康な体がなければ、一○○パーセントの力を出せない。
あなたという船の船長はあなた自身だ。タイタニック号のようになってはならない。氷山に邪魔され、健康への道半ば で沈んではならない。健康を取り戻し、それを保つのだ。
ほとんどの人が太っているのは、それを選んだからだ。コレステロールたっぷりのファスト -ドを食べることを選び、腹筋をするかわりにソファでダラダラするのを選んだのだ。 変わろうとすることを拒んだのだ。ありとあらゆる言いわけをして。
史上もっとも成功したテレビ司会者のひとりであるオプラ・ウィンフリーは、甲状腺疾患の影響で長年体重コントロ ルに苦労してきた。
だが彼女は多忙なスケジュールの中でも、余分な体重を落とし、それをキープしようと懸命の努力を続けてきた。常に 人のよい手本にならなければならないという使命感があったからだ。
甲状腺疾患を抱える彼女にとって、それはとりわけ大変なことだが、だからといって努力をやめたりしなかった。とき に後退することはあったが、彼女は勝者であり、強い意志のお手本だ。なぜなら決して諦めなかったからだ。
自分もそうなりたいと思わないだろうか。思うなら、何か行動を起こすことだ。
毎年の年明けにどれだけのフィットネス器具が売れるか知っているだろうか。びっくりするほどの数だ。
その理由は誰もが知っている。みな今年こそ痩せよう、ダイエットをしようと新年の誓いを立てるのだ。誰もが今年こ そ変わりたいと願うのだ。
ポジティブな姿勢を持つ
成功したいという思い、逆境にもめげず目標を達するまであくまで努力を続ける意志を生み出す声が、われわれひとり ひとりの内側に存在する。
最大の敵はあなた自身だ。
自分が成功できるよう、誰かが何もかもお膳立てしてくれるのを待っていたって、どこにも行けない。
ポジティブな 姿勢がもっとも大切なのは、何もかもうまくいって順風満帆のときではない。
問題は、嵐に見舞われてうずくまるしかない逆境のときなのだ。そういうときこそ姿勢が差をつける。
そのままの自分で、今までずっとやってきたようにするほうが自然だし、はるかに簡単だ。なんの努力もいらない。
だから多くの人は変われない。通り一遍の成功したいという気持ちでは耐えられないほどの努力がいるからだ。成功す るよりも、失敗するか平凡な人生を送る人のほうがはるかに多いのはそのためだ。そこまでしたいという気にならないの だ。
試練に対する見返りの大きさは、ほぼ例外なく、ポジティブな姿勢を保 に費やした 努力の量に比例する。賢く努力するほど、対価も大きくなる。
計画を立てる
人生に意味を持たせよう。そのために優先順位のリストをつくろう。
きちんとした計画を立てることは、時間を効率的に使う上で欠かせない。そして時間の使い方こそ、成功への大きな鍵 のひとつなのだ。
働くときはとにかく働く
彼らは最初のうち、時間を有効に使って真面目に仕事をしている。だがしばらくいい成績が続くうちに、ある日突然、 自分は優秀だから何もしなくてもうまくいく、と信じてしまう。成功とは、手を抜いて楽に生きられるチケットを手に入 れることだと考える。そして一度の成功に味をしめ、自分が失敗などするわけないと思い込むようになる。
するとどうなるか。努力しなくなる。思い上がり、怠けるようになる。
1自分の出自を決して忘れない。子供のころの自分の写真を見えるところに置いておく
2 成功は自分ひとりのものではないことを忘れない。セールスの仕事をしているなら、あなたの売る商品やサービスは多くの人に支えられている。その人々がいなければあなたの成功もない
3人生には必ず山と谷がある。山にあって感謝を忘れず、谷にあって謙虚さを忘れない
4勝って傲慢にならず、まわりに感謝する
5常に自分は二番、家族を一番にする。あなたが働いているのはそのためなのだ
目的を持ち、常に集中して仕事をすれば、明らかにプラスになることは間違いない。成功するチャンスも、契約をとれ るチャンスも、自分のやり方を改善するチャンスも、自分自身が向上するチャンスも もっと金を稼ぐチャンスも増える。
ジラード流、絶対厳禁リスト
あなたの癖や習慣はとくに重要であり、ビジネスの成功を決定的に左右する。
ぱっと見の印象がよければ、最初の関門をパスして次の段階に進め 実際に話ができる。だが、ぱっと見の印象が悪ければ、そこで終わりだ。 次の段階には進めない。
適切な装いをする
し てはいけないことに気をつけ、それを通じてよい習慣や行動の癖をつけるということだ。
この人から買いたいと思わせる外見をしているだろうか」。
他者に与えるイメージは、常に他者からこう見られたいと思う人物像を反映していなければならない。身なりに成功の 邪魔をさせてはならない。演じる役柄にふさわしい装いで、まわりに差をつけよう。
最高の自分を見せよう。運動していない人はすぐに始めよう。
姿勢に気をつける
人のイメージはひとつのことで決まるのでは ない。小さなことの積み重ねで、世間から見たあなたの人物像ができあがるのだ。
男女問わず成功している人をよく観察してみれば、医療、法律、教育、小売、サービス、建設など分野にかかわらず、 ほぼ例外なく、みなひときわプロらしく有能そうに見える。
適切な装いをすることが、成功者のイメージを身につける一番の近道だ。自分が人の目にどう映るか、細かい部分にま で気を配れ。鏡を見て、人からどう見えるか想像してみるのだ。その姿に満足できるだろうか。
現場でのルール
ルール七から十は、実際に人と接して、どのようにやりとりすべきかを取り上げている。これらのルールで強調され ていることは、神経をとぎすませ、鋭く敏感でいることだ。言い換えれば、ベストな状態で臨むということでもある。
聞き役に徹する
どんな業種でも、トップの人々はたいてい、話すのと同じくらい聞くのもうまい。
自分を売り込む最善の方法は、相手におもにしゃべらせることだ。
顧客が求めているもの、必要としているものについてよく理解すればするほど、相手に適切なソリューションを提供で きる可能性が高まる。
顧客に会話をリードさせるんだ。
相手の話したがる話題に会話を持っていける。顧客はリラックスし、居心地のよさを感 じる。すぐに何かを共有しあえる。
それが、私の商品と引き換えに顧客に金を出してもらう第一歩だ。
誰かから希望や要望を聞くときには、メモをとっている姿を相手に見せる(たとえそんな必要がなくても)。相手の求め ているものを本当に理解したいと思っている姿勢を示すのだ。
話を聞くことは、あなたが自分自身よりも相手のことを気にかけていると示すことだ。
相手に一〇〇パーセントの注意を向けよう。このテクニックで相手を陥落させよう。相手のあなたを見る目はがらっと 変わるはずだ。相手にとって、あなたはただ商品やサービスを売る人ではなくなる。悩みを打ち明けられる、信頼できる 相談相手となり、自分のために骨を折ってくれた恩人となる。
ある日、有名な建設会社の社長が、フル装備の最高級車種を買いたいとやってきた。試乗を含めてすべての手順を踏ん だのち、彼に購入契約書を差し出し、ペンを渡した。
すると、彼はためらい、それから丁寧に断わって出て行ってしまった。私は何が起きたのかわからなかった。
「いったいなぜ契約がフイになってしまったのか」と自問した。
その晩、一日を振り返っているときも、その失敗のことしか考えられなかった。「何が悪かったのか」という疑問の答え を探し続けた。悶々とするうちにとうとう我慢できなくなった。電話に手を伸ばし、くだんの客、ドミニクにかけた。
今日の午後よりもいい営業マンになるには、ドミニクがなぜ買わずに帰ってしまったのか、自分の行動や発言の何がま ずかったのか、どうしても知る必要がある、と訴えた。
「私の何が悪かったのか、どうか教えてくれませんか」
「よし。私の話を聞いているか」
「聞いています」
「だが今日の午後は聞いていなかった」
それから、彼は話してくれた。車を買おうと決心した後、 瞬迷いが生まれて(何しろ安くない買い物だったのだ)気 持ちを落ち着かせようと息子のジミーの話を始めた。
医学部に通う自慢の息子で、成績優秀でスポーツ万能、高い目標を持っていると。彼がそう言うのを聞きながら、正直 に打ち明ければ、私はその話を何ひとつ覚えていなかった。
明らかに、私は彼の話を集中して聞いていなかった。私があまり興味なさそうにしていることに気づいた(顧客だって 鋭敏な感覚を持っているのだ)、とドミニクは続けた。商談がまとまった今となっては、もう彼の話に興味を示す必要など ないかのようだった。たとえ、それが彼にとってとても大切なことであっても。その瞬間、ドミニクのほうも、私と私が 売ろうとしている商品への興味を失いはじめた。自分は客ではなく、ただの小切手帳を持った男になったのだ、とドミニ は思った。
私が話を聞いていたのは、彼について探ろうとしているあいだだけで、というのも私にとって大切なのはそれだけだっ たからだ。じつは、ドミニクには車よりももっと切実に求めているものがあった。彼にとってより大切なもの、喜びと自 慢の種である息子を褒めてもらうことを求めていたのだ。
顧客が買うのは、何よりもまずあなたなのだ。
「何かを学 びたいなら、口を閉じていろ」
笑顔をあげる
仕事で(そしてプライベートでも)大切な相手の前では必ず笑顔になる癖をつけられたら、それが成功への近道だ。
よい第一印象を与えることが目標なら、まずはそこから始めるべきだ。
誰かと会うときは常に、「私を重要だと感じさせろ」という看板を相手が首から下げていると思うようにしている。
連絡を絶やさない
人と接することの多い仕事やサービス業についている人はとくに、顧客や見込み客との連絡を絶やさないようにするこ とがきわめて重要だ。
新しい顧客を探すのは二番目にすべきだ(これについては後でまた話す)。なぜなら、既存の顧客こそ何よりも大切な資 産であり、一番に優先させるべきだからだ。
ウォルマートの創業者サム・ウォルトンは、「人の望むものを そしてそれ以上のものを与えよ」と言った。
人を尊重し、大切に扱い、連絡を絶やさないようにすれば、その人はいつまででも望むかぎりあなたのものになる。
1会う。顔を合わせて話す。常にこれがもっとも望ましいが、必ずしも現実的でないこともある
2 電話する。誠意を声で相手に伝えよう。意見を交換し、相手の近況を聞く機会にもなる
顧客からの電話やメールやファックスには迅速に返事をする
約束に遅れたり、別の日取りを決めずにアポイントをキャンセルしない
自分の業界で成功している人を見て、顧客との連絡 を絶やさないようにするためにどんなことをしているか探ろう。その業界で効き目のあるどんな小さなことをしているのか。成功している人には必ず理由がある。その習慣やパターンを探り、真似しよう。それを自分の日課に取り入れよう。 前にも言ったように、私が当初やったのもまさにそれだった。様々な業界で成功している人の習慣を探って、そこから 自分の道を選択した。
ときには顧客の相談役やカウ ンセラーになることもあるだろう。それをためらうな。相手に信頼されている証しなのだ。
真実を告げる
クロージングのルール
ルール十一と十二は、望みどおりの結果を手に入れるための方法を説明している。顧客の信頼を勝ち得ることが最大 の目標であり、自分を売り込むことが主目的となる。それができれば、クロージングはおのずとついてくる。
すべてのチャンスをものにする
相手がどんな人間なのかを知らなければならない。
あなたの提案やアドバイスがベストだと相手を納得させるには(それがあなたから何かを 買うことであれ、あなたの意見を受け入れることであれ)、相手が自分の考えでそうしたのだと思わせることだ。
あなたが売ったのではなく、相手が買ったのだと思わせるのだ。
多くのディーラーや営業マンが成功できないのは、その視野の狭い考え方のせいだ。
私はいつも先を見て、一度のセールスではなく、未来にわたって関係を築く機会に目を向けていた。
常に最前線に立つ
自分にご褒美をあげる
充電のルール
最後となるルール十三は、自分へのご褒美として、リフレッシュし、充電することがテーマだ。私自身も無趣味な仕 事人間というわけではない。何か目標を達成するたびに、自分と妻にご褒美をあげてきた。
あなたもそうすべきだ。頑張った自分を何らかの形で褒めてやるべきだ。なぜなら、すぐにまた、次のチャレンジに向 かって一から準備を始めなければならないのだから。
自分にご褒美をあげる
次のステップ
本気で成功したいなら、本気でものごとをよいほうに変えたいなら、ひたすら全力で前に進むしかない。それにかわる のは何もない。
完璧な人間などいない。誰もが後押しを必要としているし、自分が前に進んでいると実感し、自分のしていることに何 らかの価値があると思いたい。
だが、ミスを犯すたびに慰めてくれる誰かがいたって、状況はよくならない。必要なのはずばりと言ってくれる人だ。 本当のことを言ってくれるのは本物の友だけだ。
決断するときの痛みには二種類ある。
己を律する痛みと、後悔の痛みだ。あなたはどちらを選ぶのか。
あなたはほかの誰もたどりつけない場所を、頂上を目指しているのだ。
おそらく、はじめのうちは成功しないだろう。一度目は目標を果たせないだろう。二度目、Sや三度目でもダメかもし れない。
だがそれ! くじけてはならない。目指す場所にたどりつくまでには何年もかかるかもしれない。それもすべて旅の一部 であり、経験の一部だ。
この世に失敗などというものはない。成功と、諦めること、それだけしかないのだ。
後悔とともに目覚めるには人生はあまりにも短い
だから自分によくしてくれる人を愛し
そうでない人のことは忘れなさい
すべてのできごとには理由があると信じなさい 二度目のチャンスが訪れたら両手でつかみなさい
それで人生が変わるなら変えさせなさい
人生が楽だとは誰も言っていない
ただ、苦労する価値はあると約束している
他
習慣の鎖の存在に気づくのは、断ち切れないほど強力になってからである。