キーエンスの前身であるリード電機が設立されたのは1974年。
創業者の滝崎武光氏は1964年に尼崎工業高校を卒業後、外資系の制御機器メーカーに入社。
70年に独立し、電子機器メーカーと組み立て下請け会社を設立したが、どちらも失敗。
2022年3月期の海外売上高比率は58.9%。
15年3月期以降、8期連続で50%超を達成している。
センサーを中核技術と位置付けるキーエンスが手がける商品は1万種以上あるとされる。
使っている商品がキーエンス製であれば、仮に予備を持っていなくても翌日には入手できる。
困った時は「キーエンスに頼めば何とかなる」
これは顧客にとって大きな付加価値だ。
在庫が増えるとキャッシュフローが減少する上、売れなかった在庫を廉価で販売したり処分したりすると利益率の悪化を招く。
そのため、多くの製造業はなるべく在庫を減らすことを重視してきた。
その極みと言えるのが、完全受注生産。
無駄な製品を作らずに済む上、生産が終わったそばから売上になるため資金繰りも圧迫しない。
「キーエンスだったら、すぐに持ってきてくれる」という他社にない価値を守り続ければ、商品の売値を維持でき、それが長期的な利益率向上につながる
三菱電機やオムロンなどの商品の人気は根強い上、「今まで使ってきたメーカーから変えたくない」という意向を持っていることが多い。
仕入れから決済までの期間を表す「仕入れ債務回転日数」が43.3日、顧客への販売から代金回収までの期間である「売上債権回転日数」が169.1日
キーエンスは他社に比べてサプライヤーに早く支払い、顧客からはゆっくりと回収している
キーエンスは社員一人一人が「自分が社長」というような意識を持っている
会社全体の業績が上がれば、一般社員の賞与も大幅に増える。
だからこそ一人一人が自分の結果だけでなく会社全体の業績を考えるようになる。
自分の時間チャージよりも外部に委託した方が安い作業があれば外注していく。
時間チャージよりも付加価値が小さい時間を作らないようにするというのが、社員の基本的な発想だ。
目的意識を伴った行動が成果を上げる